加藤シゲアキ著『オルタネート』
こんにちは!節約OLスズ(@suzu_kakeibo)です。都内で一人暮らししてます。
今回読んだのは直木賞・本屋大賞にノミネートされた加藤シゲアキさんの「オルタネート」です。
あらすじはこんな感じです。
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代。東京にある円明学園高校で3人の若者の運命が、交錯する。ある「事件」により、誰にも明かせぬトラウマを抱える蓉。母との軋轢を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネート信奉者の凪津。高校中退後、かつてのバンド仲間を求めて、大阪から上京した尚志。出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、訪れる「運命」の日。悩み、傷つきながら〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。3年ぶり、渾身の新作長編。
本書は第164回直木賞にノミネートされていました。
この本を読んで感じたこと
加藤シゲアキさんの本を読むのは初めてです。
ジャニーズのアイドルグループNEWSのメンバーであり、過去にも「ピンクとグレー」「できることならスティードで」などの話題作も多数出版されています。
スズは何度もブログでも記事にしているようにジャニヲタなので、シゲの本は逆に避けていた感じがあります。
なんかミーハーな感じがして(笑)
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今回「オルタネート」を手に取ったの理由は「直木賞候補になるくらいだから面白いのかな」という純粋な興味からです。
直木賞候補だったら先述のミーハー感も薄れるかな、と。
結果、夢中になって読み切ることができましたし、シゲの他の作品にも興味が湧いてきました。
印象に残った部分
このお話は「オルタネート」という高校生限定のマッチングアプリを中心に展開していきます。
オルタネートとは?
高校生限定のSNSアプリ。個人の認証が必要で、利用条件は高校の入学式から卒業式までと定められている。お互いが〈フロウ〉を送り合うことで〈コネクト〉となり、メンバー同士の直接のやり取りが可能となる。また、ユーザーが指定した条件に合わせて相性のいい人間をレコメンドする機能、ブログを投稿できるSNS機能を持ち合わせ、高校生必須の人気アプリとして確固たる地位を築いている。
マッチングアプリと聞くと恋愛や恋人探しの印象が強いですが、オルタネートは友人を作ったり他校に転校してしまった友人と連絡するという目的のためにも使われています。
卒業・中退すると使えなくなるのが特徴で本当に高校生限定のアプリです。
ちなみにオルタネートは英単語のalternateから来ており以下の意味があります。
alternate
(1)交互に起こる、互い違いになる、交互に繰り返す
(2)《電気》〈電流が〉交流する
(3)代わりのもの、交代要員、代理人、補欠
本作は3人の高校生が主人公として登場します。
そしてこの3人と周りの人物は良くも悪くもオルタネートに依存したり振り回されたり、時に人生を変えられたりしていきます。
3人の主人公がオルタネートに対してそれぞれ異なる感情を持っているのも特徴。
- オルタネート信者ともいえるくらい信頼している
- オルタネートには登録もしていない
- オルタネートを使いたくても使えない
この3人は各々が独立した主人公なのですが、作中で少しずつ関係性が絡んできます。
「高校生」という決して広くない世界に生きている宿命なのか、またオルタネート故か人間模様は否応なしに絡んでくるのです。
その点は新しい人間関係を開いていくことが難しい大人の私から見るとなんだか微笑ましくもあり、羨ましくもあります。
もしオルタネートがあったら
必須のアプリ、という点においてオルタネートを現実世界に変換するとLINEのようなものでしょうか。
現代社会においてLINEを使わないという選択肢はほぼないに等しく、オルタネートと同じように友人や恋人を作るツールとしての役割もありますよね。
私スズは90年代半ばの生まれで、高校生の時にスマートフォンが普及し始め大学生になるときに全員がスマホを持つという世代でした。
「LINEっていうチャットアプリは全員使っているから、入れといた方がいいらしい」
そんな話を同じ大学に行く高校の友人と話した記憶があります。
ただLINEにはオルタネートほどのわかりやすいマッチング機能はないので、もし自分が高校生の時にオルタネートがあったらどんな高校生活になったのかなあと思いました。
まとめ 偏見を捨てて今すぐオルタネートを読め
シゲの本は初めて読みましたが驚いたのは
- スッと染み込んでくる流れるような文章
- 映像が浮かんでくるような具体的な描写
- 透き通った美しい青春
読んだきっかけこそ「NEWSのシゲが書いたから」でしたがそんなことは一瞬で忘れるくらい夢中で読み切りました。
誇張ではなく最初の1文を読んだだけで引き込まれてしまう、いい意味で裏切りの一冊。
ジャニーズが書いた本、という偏見を捨ててぜひ手に取ってもらいたい本です。
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